ユーザー事例
  〜 時空工房

京仏具を製造する時空工房
OneCNCの導入で、伝統工芸の分野で新しい挑戦を!

京仏具は国に指定された伝統工芸で、長い歴史のある産業です。
そして時空工房の高瀬慎二さんはこの伝統工芸の仕事に長年携わってきました。
特に寺院仏具(法具)製造を生業とし、鋳造、鍛造、彫金といった金属加工において長年の修行と経験に裏打ちされたベテラン職人です。

一見ミスマッチにみえる伝統工芸とCAD/CAMが
どのように繋がるのか興味深いところですが、今回はそこからお話を伺いたいと思います。


伝統工芸としての京仏具製造とはどういったものですか?

仏具といっても仏壇などの家庭用仏具と寺院で使用される寺院用仏具があります。
そしてそれも木工、金工、彩色いろいろな職種に分かれています。
私のところでは寺院用の金属の仏具を製造しています。
宗派によって異なるのですが、密教系のものが多いですね。

その内容は鋳造から、鍛造、そして彫金まで全般的なものです。
京都では家業とされているところが多く、私も母方の祖父がこの仕事を始めたわけです。
私は叔父のところで26年間修業した後、独立しました。
下世話な言い方をすれば家内制手工業といったところでしょうか。
しかし歴史があるだけに修行は厳しく、一人前になるまで10年以上かかるといわれています。

伝統工芸とCAD/CAMは一見ミスマッチに見えるのですが、
CAD/CAMを導入されたきっかけは何でしたか?


伝統工芸ですから、みなさん当然、手作りの良さを強調されますし、求められます。
しかし、精度を求められない訳ではないのですよ。
例えば、この五鈷杵(下画像)などは台に置いたときにガタつかない事が重要です。
もちろん、複数の部品の組あわせで一つの製品を作る場合もありますし、このあたりは長年の修行による職人の技量が必要なのですが、精度の面について言えば、NC加工機を使うことで問題は解消できます。
まずそういった精度の面からのアプローチが第一でした。

もう一つは工業製品の金型をやっている友達がいるのですが、そこで見せてもらって、これなら何でもできると!

この仕事はある程度作るものは決まってきます。
そこに新しい製品を作っていきたいと思っていたんですよ。
伝統工芸といわれますが、この世界は保守的ですね。
なかなか新しいことに取り組んでいかない、というかその勢いがないように感じます。
これは京都だけに関してかもしれません。
富山県高岡の同業者などはNC旋盤を普通に使っているようです。
伝統工芸といえど技術革新と無縁ではありません。
このような技術も伝統工芸の一部として歴史の中に消化されると思います。


ご家族でお仕事をされていますが、OneCNCはどなたが操作されていますか?

家族で役割分担をしています。
次男(雅喜さん)が鋳造、長男(和馬さん)がCAD/CAMを、そして私が彫金と仕上げを担当します。
それぞれが錬度のいる仕事ですから、私のわかる部分を徐々に教えながら取り組んでもらっています。
ただ時代というか、親子だからというのかやりにくい部分もありますね。
私の修行時代なんか口ごたえしようものなら金槌が飛んできましたが、そんなことはやれません。
ただ思うのは伝統を守っていくだけでなくこういった部分も取り入れないと若い人はついてこないと思うんです。

では和馬さんにお尋ねします。
これまでCAD/CAMは使われたことがありましたか?初めて加工してみていかがでしたか。


和馬さん:
CAD/CAMもNC加工も何もかも初めてでした。CAD/CAMの講習を受けて、その日のうちにテストカットをしてみましたが、最初は非常に怖かったのを覚えています。それでもなんとかものになりました。
OneCNCは操作がシンプルにできるのと、どんな加工でもシミュレーションで形状が確認できるなど、本当に助けてくれました。

それからは一歩一歩ですね。

例えば、金剛板(真言宗などで使用する真鍮製の盆)の表面に描く紋様はイメージ図をOneCNCに取り込み、彫刻加工パスで加工したものです。

あと鈷杵などの柄の部分などはOncCNCで加工パスを出し、それを4面取りして、切り出すなど工夫もしています。



その後の使用感はいかがですか? お困りのことはありませんか?

和馬さん:
うちはMill Advantageですので、モデリングまではしていません。
3DCAD専門の方にモデリングは依頼していて、IGESデータで頂いているのですが、OneCNCでの読込み結果はいつも良好です。まず間違いなく形状は取れています。
ただ3Dモデルを作ってもらったあと、ああしたい、こうしたいということもあったりして、今後OneCNCの上位グレードへのランクアップも視野に入れたいですね。


HSMツールパスは実際に削ってみていかがでしたか?

XR3のHSMツールパスは面白いですね。
最初はどうかなと思ったんですが、これまでのパスと削っている時の音が違っているんですね。
送りのオーバーライドを握った時にいつもは遅くなる方向に回すのに、まだいけるってできることが違います。

また純銅なんかの粘る材料も加工するんですが、こういった材料に対しても効果がありました。
色々な材料で試してみたいですね。


最後に、今後の抱負についてお聞かせください

加工ノウハウも溜まってきたので、そろそろ次のステップに行きたいと思っているところです。
やはり3Dモデリングに挑戦してみたいですね。
いまは外部でモデリングしていただいたものを取り込んでやっていますが、この部分ができればもっと仕事の幅が広がりますし、新しい製品に挑戦できる。やりたいのはそこですからね。

それとスキャナーで取り込んだイメージファイルを処理するのはもうやってますが、3次元スキャナーも廉価になってきましたので、こちらの方も研究したいと思っています。
加工の方は自信がつきましたが、これからはその形状をどのように作るか、あるいは取り込むかがポイントです。


▼会社プロフィール

■社名:時空工房
■所在地: 京都府八幡市男山長沢9-28
■TEL :075-983-6364


  

【導入製品】
OneCNC Mill Advantage
OneCNC SolidCreator



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