ユーザー事例
  〜 有限会社 賛友企画

自社開発トレーに強みを持つ老舗の真空成型メーカー
 「バリ取り機能に期待しています」

長野県須坂市に製造拠点を置く有限会社 賛友企画(サンユウキカク)は、
会社設立40年にもなる老舗の真空成型メーカーで、約50人の従業員を抱える優良企業です。

2020年に社内のCAD/CAMシステムを総入れ替えする形で、
OneCNC Mill Expertをネットワークライセンス(10台)でご導入いただきました。


▲複数の担当者がそれぞれの自分の机のパソコンでOneCNCを使用している


この度、当社の製造の全般を指揮されておられる根津部長様にお話を伺いました。


まずは御社のお仕事の内容についてお聞かせいただけますか?

根津部長:
弊社は真空成形トレーの企画・製造・販売までを一貫して行う経験豊かな専門メーカーです。

真空成形は身近なところでは卵のパックやお菓子箱の中にあるプラスチック容器などが思い浮かびますが、
近年では、多くの製造工場でロボットが導入されるなど、製造ラインの自動化、簡素化が進んでおり、
加えて製造工程間の部品の搬送や位置決めに、精度が求められ、
より効率的で安価な工程の「治具トレー」の需要が高まっています。

もちろん形状は大小様々オリジナルです。

特に、登録商標になっている「ハロトレ」は、二枚貼り合せた中空構造の軽量かつ強度のある、安価な「治具トレー」です。
強度と精度も兼ね、安価なことから、多くの大手製造メーカーから受注を受け、当社の主力製品となっています。


▲中空構造のオリジナルトレー「ハロトレ」


OneCNCを導入された経緯についてお聞かせください

根津部長:
真空成型金型はご存じのように大型製品を作成できる特性があり、必然的に大きな金型が多くなります。
また真空成型金型の材料は樹脂型とアルミ型の2種類があり、要求仕様に応じて使い分けていますが、
搬送用トレーについては精度が求められることからアルミ型の割合が増えています。


▲真空成型の金型


これまでは他社製品の3次元CAD/CAMソフトを使用していましたが、
金属を想定した加工条件を指定すると、CAMシステムでのツールパス計算時間も当然長くなり、
その上で加工精度を上げようとすると、それまで使っていたCAMシステムでは、
ツールパス計算時間が一向に終わらないという困った状況が増えてきました。

そこで、まずはパソコンのスペックを中心にシステム環境を改善しようということになったのですが、
調べてみると、それまで使用していたCAMシステムが、どうやらメーカーの開発が停滞している様子で、
最新のOSにも対応しておらず、将来的なサポートも期待できない状況であると判明しました。

それで、パソコンだけではなくCAD/CAMシステムについても最新のものへの更新を検討することにしました。

OneCNCについては、以前よりホームページやYoutubeの動画などを見て興味を持っていたこともあり
有力候補ではあったのですが、導入前には実際にメーカーまで足を運び、デモを見た上で導入を決めました。

決定の理由としては、当然のことながら最新のOSに対応していること、将来性のあるシステムであること、
そしてネットワークライセンスにも対応していること、また操作性が優れており、講習を受けなくても
デモを見ただけで持ち帰ってすぐに使えそうな印象を受けたことですね。


OneCNCを導入してみていかがでしたか?

根津部長:
まず以前のCAMよりも加工面が断然にきれいになりましたね。
加工時間は多少伸びましたが、仕上げを優先した加工条件にしているのでこれは納得しています。

▲3D曲面の仕上げの様子

あとは、切削シミュレーションがとてもきれいで素晴らしいですね。
それまでのCAMシステムはワイヤーフレームでのシミュレーションしかなかったため、
切削後の形状の確認には別のNCシミュレ―ションソフトを使わざるを得ませんでした。

また真空成型金型では吸引のための穴を裏側から加工しますが、その干渉・貫通の確認が重要なのですが、
その専用のシミュレ―ションソフトを用いても両面からのシミュレーションはできませんでした。

OneCNCでは、「3軸多面加工」を用いて表面と裏面の加工工程を同じモデル上に作成して、
それを連続してシミュレーションすることができますね。
これにより、最終的な加工結果を確認することができますので、大変重宝しています。
欲を言うならシミュレーション結果を保存して再利用できるようになれば最高ですね。


▲表裏の両面からの加工をシミュレーションで確認できる

その他、真空成型金型ではテーパー面の加工が多いのですが、これらをすべてボールエンドミルを用いて
3D加工で仕上げを行うとなると、加工精度を上げるとそれだけ加工時間が膨大にかかることになります。

そのため、荒加工については3D加工を用いるのですが、仕上げ面についてはテーパボール工具を用いて
2D加工で仕上げたいというのが当社の希望でした。


▲壁面の仕上げにはテーパーボールを用いた輪郭加工を使用

OneCNCは3D加工と2D加工の組み合わせが完全にシームレスに行えるシステムですが、
特に2D加工においても、3Dモデル上に直接ツールパスを作成することで深さの間違いが防げる利点がありますね。

また、輪郭加工においても、テーパーボール工具の形状を認識したツールパスが計算されることなど
導入前には気づかなかった利点もあり、総じて上手く活用できています。


今後どのような機能に期待されていますか?

根津部長:
今回のバージョンから「バリ取り機能」というコマンドが追加されたと聞き、注目しています。

当社の加工では仕上げを2D形状加工で行うこともあって、凸角部分にバリが多く出ます。

▲バリの残った写真(表面仕上げ前)

今回OneCNCに搭載された「バリ取り機能」については、まだ社内実験の段階なのですが、期待どおりの活用ができれば、
マシニング加工が終わり、ワークを取り外した段階で、ほとんどのバリは取り終わっていることになり、
その後の表面仕上げに要する作業工程がこれまでの半分以下で済むことになります。
これは非常に大きいですね。


▲OneCNCでのバリ取り加工の様子

今後もOneCNCには従来のCAD/CAMの枠におさまらず、
製造工程に効率化をもたらす画期的な機能を提供してくれることを期待しています。


▼ユーザープロフィール

■会社名: 有限会社 賛友企画
■所在地: 長野県須坂市豊丘80-2
■TEL: 026-248-3399
■URL :http://sanyukikaku.co.jp/


【導入製品】
OneCNC Mill 3D Expert
※ネットワークライセンス10台
(2020年3月導入)


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