ユーザー事例
  〜自動車フレーム

OneCNC - Mill Expert がFord GTに貢献

それは3月の第1週のことでした。新しいFord GT車のサーフェスデータは予定通りに届いていませんでした。Bill Ford氏の個人的なGTが最初に組み立てられることになっていた。この車は100周年記念で公開される予定のもの。4月の納期が徐々に近づいてきます。我々はフレーム部分のサプライヤーですが、もうすでにドア用シートメタル、ガラス、シート、他のサプライヤーは、完成部品を手に、会議に挑んでいます。我々が納めるフレーム部分なしではアセンブリができない。ショーで見られるような車(図1)とは違い、フレーム(DLO)は、エクステリア・スタイルの一部となっており、デザイン上完璧な仕上がりが必要となります。

図 1: デトロイトでの北米自動車ショーのFord GT

このハイリスクと厳しいスケジュールが課せられる厳しいプロジェクトは、ミシガン州トロイにあるApex Manufacturingが行うこととなりました。当社はダイカスト産業での亜鉛やアルミの金型作成を行っている会社です。CAMシステムとしては、それまで、OneCNC Mill Professional を使っており、簡単な操作で、効率的なカッターパスを作成でき、大変によく活用してきました。フレームのテストデータで検証を行ったところ、その大きさと複雑さのために、短い納期を実現するためには、いくつかの修正点が必要だということが明らかになりました。

特に、我々は、サーフェスを適宜分割する等、より効率的なツールパスを実現したり、追加のデザインや、加工、重複チェックを行うためには、より高速なコード作成が必要でした。Bサイド・フランジ部のキャビティ(0.050インチボール工具でのDLOの0.060インチ幅、1.200インチ深さ)を加工するために、より高速な加工を行う必要がありました。(図. 2)

一方で、プロジェクトの計画段階と時を同じくして、OneCNCではMill Expertの提供開始準備が進められていました。我々は、そのことを知ったのは、まさに加工準備が整ったときのことでした。

この新しいソフトを手にして、最初に気づいたのは、メニューやウィザード形式といったユーザーインターフェースは、旧ソフトからあまり変更がなかった点です。そのおかげに、ソフトが更新されているにもかかわらず、講習等の必要ありませんでした。

ポストプロセッサの設定を行い、15分後にはテストカットを行っていました。



図 2: Bサイド・フランジ部

Rhinoダイレクトインポートでの50MBのファイルによる厳格な試験が行われました。インポートは素早く行われ、データも正確そのものでした。我々は、すぐに、機械座標系にパートを移動し、荒加工のツールパスを作成しました。

同じ演算精度を指定しても、それまでの製品にくらべ5倍以上も、コード生成速度が向上していました。4,000平方インチの金型切削面では、この時間短縮は大きな影響があります。

加工シミュレーションは、CADデータからではなく、ツールパスから作成されるので、工具経路の確認には最適でした。シミュレーションの結果は、実際の加工結果を非常によく反映していました。シミュレーションではステップオーバー量からくるスキャロップの状態まで確認できます。荒加工のシミュレーションを行ってみたら、一部に不具合が発見されました。これはインポートしたIGESデータに問題があると思われました。



図 3:荒加工シミュレーション

このような問題に対処するために、Mill Expertにはスウィープ等のサーフェス機能が備わっています。CAD専用ソフトに戻ることなく、このような修正ができることは、大変時間的に効率的です。

プロジェクトのスケジュールが短かったために、加工の方もより短くする必要がありました。そのため、ソフト側でのツールパス確認は必須でした。Mill Expertには十分な確認機能がついており、シミュレーション中の工具表示も大変役立ちました。モデルやツールパスを自由に回転して表示することも可能なので、サーフェスとツールパスの干渉状況も視覚的にも確認できました。

これは特に、深いフランジ部分のサーフェスを0.050インチのボールエンドミルがどのように加工するかを確認するのに役立ちました。(図. 5)



図 5: ツールパスの確認

Ford GTの運転席側、助手席側のDLOを作成するのに、750IPMで3日かけて、4つのパターンを作成しました。



図 6: 左右のAサイド部DLOのマスター

マスターパターン、石膏鋳造プロセスを経て、両側の仕上げの鋳造物が1週間で仕上がった(図. 7)。



図 7: Ford GT の両側面

図8から完成品表面の仕上がり具合が分かります。



図8 : 表面詳細

塗装、ガラスのはめ込みを経て、DLOがSaleen Specialty Vehicles in Troy Michiganの工場で組み込まれました。



図 9: Saleen Specialty Vehicles でのFord GT の組み立て

1日の余裕を持って、ミシガン州Dearbornで開かれるフォード社100周年の記念式典への出荷準備が整いました(図.10)。


図 10: 完成

つまり、こういうことです。時間が大切なときは、OneCNCに相談するとよい。


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